フリーランスや起業家になる前にこれだけは理解しておきたい5つのマトリックス&チャート(図表)
金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラント
金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラントは、「どこからお金を得ているか」に基づいて分類し、私たちはこの四つのクワドラントのうち少なくともいずれかの一つに属していると解説しています。
経営学などにまったく馴染みが無く、社会には雇う側と雇われる側の2つしかないと思っていたのは約13年前。
単純な私は金持ち父さん貧乏父さんを読んだ際に、持ち家や所有車が資産ではないという考え方やラットレースという概念に感化され、I(投資家)になるには不動産を学ぶ必要があると思い東京へ上京しました。
そして、職種的には不動産業に携わっていたものの、結果的に畑違いのE(従業員)を全力で学び続けていたということに気がついたのはずいぶんと後になってからのこと。
キャッシュフロー・クワドラント
金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラント図参考
この本をいちばん読んでほしいのは、別のクワドラントに移りたいと思っている人たちだ。とくに、いまE(従業員)やS(自営業者)のクワドラントに属していて、B(ビジネスオーナー)やI(投資家)になることを真剣に考えている人に読んでもらいたい。つまり、仕事の安定から一歩先に進んで、真の経済的安定を達成したいと考えている人たちに読んでほしい P.28
今でこそSに属するフリーランスを経験をすることで、「キャッシュフロー・クワドラント図の右側へ移行しない限りラットレースから抜け出すことはできない」ということが、実感的に理解することができます。
13年もの時間を放浪して改訂版を読み返すと、これらの過程が58~60ページに集約されていて「ギョっ」とした、《起業家の多くはSタイプのビジネスを始めるが…ほんとうは右側のクワドラントに移りたいと思っている…そして結局はSからBへ移ろうとする》
経済的に安定した、しあわせな生活を送るために必要なのは、「自分で何かやる」か「いままでにない商品を開発する」ことだと思っている人は多い。そういう人はたいして考えもせずあわててビジネスを始め(中略)右側のクワドラントに移りたいという夢を持ちながらそのまま左側で立ち往生してしまう(中略)実際にBに移れるのはごく少数だ。その理由は、それぞれのクワドラントで成功するために必要な技術的能力、人間的素質が異なるからだ。あるクワドラントで本当に成功したいとおもったら、そこで必要とされる技術、心構えをしっかりと身につけなければならない。 P.58~P.59
わかった気でいただけでSとBの決定的な違いも理解せず「独立すれば自由になれる」といったような感覚でいたのだろうけど、何から始めたら良いか見当もつかない、もしくはクライアントの制約にがんじがらめ。。
そんなフリーとは名ばかりの超がつくほどノンフリーランサーな状態だった。
もしこれからフリーランスの道を歩もうとしていたり起業を考えているのであれば、今一度SとBの違いをしっかりと理解して、自分が目指している方向と照らし合わせてほしいと願うばかりです。
金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラントと合わせて、Sを職人、Bを起業家として言い表している《はじめの一歩を踏み出そう:マイケル・E.ガーバー 》を一読すると理解度がグっとあがります。
7つの習慣(第3の習慣:最優先事項を優先する)
自分が目指す場所とは違う従業員を学び続けていた頃、何事も形から入る私は7つの習慣で提唱する優先項目やミッションステートメントを記入するのに最適な、フランクリン・プランナーという手帳を使用していました。
今になって振り返れば「7つの習慣読んでまっせー」「できる男でっせー」と言いたかっただけなのかもしれない・・
そして第1の領域であるお客さんとの物件案内アポイントのみをメモっているだけという、こっ恥ずかしい勘違いをしていだけではなく、第3の領域に惑わされ、第4の領域に癒しを求める。そんな日々が蘇ってきます。
7つの習慣の時間管理マトリックス
完訳25周年記念版7つの習慣 P.200参考
世界中にWin-Winを叫んで公的成功を願うその前に、誰かの価値観に照らし合わせた反応ではなく主体的に、目的から逆算した、自分にとっての最優先事項を優先することができる私的成功の土台がなくてはならない・・
第1の習慣:主体的である
第2の習慣:終わりを思い描くことから始める
第3の習慣:最優先事項を優先する
第4の習慣:Win-Winを考える
第5の習慣:まず理解に徹し、そして理解される
第6の習慣:シナジーを作り出す
第7の習慣:刃を研ぐ
より深く理解するために、第1の習慣はアドラーから学び、第2の習慣(第4.5.6の習慣も)はU理論からヒントが得られるかもしれない。
そして第3の習慣は、自分だけの最優先事項の時間管理マトリックスを完成させ重要でない3と4の領域を、日々の生活から意識的に遠ざける工夫が必要です。
ピーター・ドラッカーの言葉を借りれば、効果的な人々は「問題ではなく機会に着目する」のである。機会に餌を与え、問題を飢えさせるのだ。先を見て対策を講じる。彼らとて第1領域の危機や緊急事態に直面することはある。もちろん、そのときはすぐに対応しなければならないが、そうした状況になることが他の人たちに比べると少ない。彼らは緊急ではないが重要なこと、自分の能力を大きく伸ばす第2の領域の活動に時間を使いP/PCバランスをうまくとっているのだ。 P.205 [※P:成果(Performance)/PC:目標達成能力(Performance Capability)]
フリーランスや起業家になるのであれば、火消しに奔走して燃え尽きたり、楽を求めて堕落するといった極端に振り子が振れる可能性があることを十分に理解すること。
そして、緊急かつ重要な1の領域に浸食されないような備えや予防をしながら、最優先事項である2の領域にアプローチする活動を通してセルフ・マネジメントを学でいきましょう。
フロー体験 喜びの現象学
緊急かつ重要な問題や事柄なら誰だってすぐに反応することができる、というより反応せざる得ない、しかし7つの習慣で言うところの重要だけど緊急ではない第2の領域の活動は、結果が得られるまで時間がかかるし、むしろ一生涯かけて取り組むもの。
このような長期的目的を達成させるには「想像力と忍耐力、そして決断力と自分を律する強い意志が必要だ!」と、言われると努力嫌いな私は途端に委縮してしまう。。「わかっちゃいるけど‥」
そんな私のような人間でも、積極的に第2の領域へアプローチし続けられるヒントをアメリカの心理学者Mチクセントミハイ氏が、フロー体験という概念を用いて教えてくれている。
フローチャンネル
フロー体験 喜びの現象学 P.95参考
人間が幸福感を得られているフロー状態は登山家の「そこに山があるから」といった名言に集約されている、と思う。
- 自発的努力の過程で心身を限界にまで働かせ自我が消滅している状態
- 達成の見通しある課題に取り組み自分の行為を統制しているという感覚
- 自ら設定した明確な目標に対し直接的なフィードバックが得られる
幸福=成功だと定義した場合、頂上に到達した状態が成功なのではなく、明確な目的に対し自身の持てる能力を最大限に発揮しながら挑戦している状態こそが成功。
「目的を達成するためにずーっと努力を続けなければならないのは正直しんどい・・」と感じるのであればそもそも登る山を間違えているということ。
むしろ登る必要もなく、スノボで自分の身体的能力を発揮して角度のある山を滑り降りることなのかもしれないし、サッカーなのか将棋なのか、ブログなのかビジネスなのか?
そのビジネスは単純にお金を稼ぐためだけのものなのか?それとも自身が意義を持って挑戦し続け、能力を高め続けることで世の中に提供しようと試みているものなのか?
我を忘れるほど没頭できるフィールド(挑戦と能力のちょうど良いフローチャンネルの範囲)を見つけることさえできれば、努力という言葉を必要としなくなります。
そんなエキサイティングな経験を通して自身のステージがどんどんと上がっていくことを実感できるようになるので、まずは内省し、なりたい自分の未来像を明確に描くことから始めてみよう。
U理論入門
「過去からの延長線上にない変容やイノベーションを個人、ペア、チーム、組織やコミュニティ、そして社会で起こすための原理と実践手法を明示した理論」として解説されていくU理論は過去からの延長線上ではなく出現する未来からの学習とのこと。
U理論の7つのステップ
U理論入門 P.7 P.105参考
何かをすることに惹かれるけれども、なぜかははっきりとわからない。実際に自分の手足を動かし、心で感じ取りながら形を見出していくことで、やっと頭は「なぜ、それが必要だったのか。なぜ、それをすることになったのか」を理解しはじめます。P.4~5
このように説明が続き、具現化のプロセスで引用されているMr.Childrenの桜井さんやスティーブジョブス氏の言葉に触れるだけで、普段から創作活動している人は「ズバっ」とくるかもしれませんし、逆に論理的思考の人は「なんだろう?」と極端に二分されていくように思います。
多分曲が訴えたいこと、それから歌いたいこと、叫びたいことの何かのイメージを持って生まれてくるんだと思うんですよね。で、そのメロディーが頭の中でできて、なんとなくキーを決めて、自分の口でそのメロディーを、「ラララ」であったり、適当な英語で叫んでいる。その口の開き方であったり、声のかすれ方など、これは怒りなのか優しさなのか、その音から自分がもらうんですよね。(中略)音楽に向き合うときはできるだけ自分を、まっさらな何も考えない状態にして、その音と向き合わせるときに、その音楽が自分の中の何かを引き出してくれて、その引き出た何かがリスナーの何かと結びついて、共に共有するというか、そんなことをいつも目指してるんだと思います。 P.237~P.238
先を予測して、点と点をつなげることはできない。あとで振り返って点のつながりに気づけるだけだ。だからこそその点が、将来何らかのかたちで必ずつながっていくと信じなくてはならない。自分の根性、運命、人生、カルマ・・・何でもいい、とにかく信じること。点と点が自分の歩んでいく道の途中のどこかで必ずひとつにつながっていく、そう信じることで他の人と違う道を歩いていたとしても、君たちは自信を持って己の心の赴くまま生きていくことができる。それが人生に違いをもたらすことになる。(中略)他の人の意見という雑音に自分自身の内なる声をかき消されないようにしよう。そして最も重要なことは、自分の心と直感に従う勇気を持つことだ。心と直感は本当になりたい自分をどういうわけか既に知っている。その他のことはすべて二の次だ。 P.245~246
私はこのような感覚的な部分には「ドンピシャ」だったのですが理解力が足らないのか、書籍全般を読み進めるほどによくわからなくなっていく感覚がありました。
というのもU理論そのものが非常に感覚的なものに対し、7つのステップとして言語を当てはめ論理なアプローチをしているということ。
それと著者の中土井僚氏が、U理論提唱者のオットー・シャーマー氏が用いた言語のニュアンスを大切にしているため、英語と日本語など複数の言葉を用いて表現を試みているからかもしれません。
逆に理解力のある論理的思考の人ほど最初は「なんだろう?」でも、体系化された本書を読み進めるうちに徐々に感覚を掴んでいくのだと思います。
1.ダウンローディング(過去の経験によって培われた枠組みを再現する)
2.観る(判断を保留し、現実を新鮮な眼でみる)
3.感じ取る(場から感じ取る)
4.プレゼンシング(源につながる)
5.結晶化(ビジョンや意図を明確化)
6.プロトタイピング(実行、実験によって未来を探索する)
7.実践(新しいやり方、仕組み、習慣として実体化する)
いずれにせよU理論の創造のプロセスは、人と組織の問題解決や高次元のコミュニケーション、起業家がビジネスモデルを作り上げる工程、アーティストが作品を創造する際など、フリーランスや起業家にとってさまざまな場面で必要不可欠な要素が秘められています。
是非とも感覚を掴み実践に活用できるようにしたいですね。
マズロー欲求5段解説
人間の欲求を5段階に構成し、低階層の欲求が充たされるとその欲求は消滅しより高次階層の欲求を欲するというマズローのピラミッド状の図はあまりにも有名ですが、便利な概念がゆえにしばし限定的かつ自動エレベーターのような紹介のされ方が見受けられます。
しかし、人間の感情や欲求は複雑かつ多様であって、マズロー自身も階層の順番を決して固定的には考えていなかったようです。
実際に私たちも自身の内面を客観的に観察してみれば、生存欲求を満たすために食事をしながら、安全欲求を満たすための保険を選ぶ会話をし、承認欲求を満たすためにディナーの写真をSNSにアップするという複数の欲求を同時に満たそうとする器用さを持ち合わせていることに気がつきます。
マズロー欲求5段階説
完全なる経営 P.40参考
重要なのは欲求のカテゴリ数や個別の順序ではなくホリスティック(全体論的)な理解だと強調していますが、この全体論的な理解を市場のニーズとして捉えると合致点が多く見つかります。
昨年マーケティングの巨匠コトラー氏がマーケティング4.0を発信しましたが、時代の流れに沿って全体的な消費者ニーズも変容しています。
マーケティング1.0:製品中心
マーケティング2.0:消費者志向
マーケティング3.0:価値主導
マーケティング4.0:自己実現
マズロー同様、コトラーの自己実現という言葉だけでは抽象的でイメージがしにくいと思いますし、発信されてからまだ間もないので書籍もなく言及している情報もあまり見受けられません。
でも、U理論を用いて内省することで何か感じられるものがあるのかも?
10数年前、私たちの声はいとも簡単に上司の声にかき消され、自己を表現する場が無いことに落胆し、まるで自分が無価値な存在のように感じていました。「もし自分を表現することができるプラットフォームのようなものが作れれば・・」もしかしたらあなたもそんなことを考えていたかもしれません。
そして、日本では2004年のmixiを皮切りにマーケティング3.0に代表されるソーシャルメディアの普及により、個性的な表現が承認され(逆に評価、批判もありますがフィードバックが得られる環境がある)自身の価値を感じとれるようになりました。
現在は、自身が本当に必要とする製品だけ手元にあれば充足し、情報はgoogleで検索すればほぼ1発で拾うことができ、感情や思想、考え方や存在そのものを理解してもらいたければソーシャルへ投稿する。
このように私たちの欠乏した欲求を満たすインフラはすでに整っている(全体論的に捉えた場合)ことに気づきます。
マズローの欲求5段階説における1~4までは足らないものを満たすという欠乏欲求に対し、5の自己実現は外的要因に依存するものではない成長欲求だと説明しています。
「大まかに、才能や能力、潜在能力などを十分に用い、また開拓していること‥自分自身のなしうる最善を尽くしているように見え‥自分たちに可能な最も完全な成長を遂げてしまっている人々、また遂げつつある人々」(中略)自己実現とは生涯をかけてじっくり探求すべき発達課題の一つなのであり(中略)自分の存在価値を示していくことによって長期的に探し続けるものなのだ。 P.422~423
1.0:製品を所有することに価値を感じていた時代から、2.0:価値ある情報を得て消費者が選ぶ時代へ、そして3.0:ソーシャルメディアなどの活用によって自身の価値を確認できる現代だとするのであれば自己実現、ようするに欠乏を満たすために消費していた時代から大きな変換を向かえ・・
4.0:自身の価値を追求しその価値を世の中へ還元していく時代ということなのかもしれません。
これからの時代について
今私たちの胸のあたりにあるこのウズウズ感は何んでしょうか?
これまで企業に属することで満たされていた安全欲求や社会的欲求のバランスがリアルに傾きはじめ、その不安と交錯するように湧き上がるひとつの希望を無意識に感じとっているからではないでしょうか・・
誰もが自分の能力を大きく伸ばす第2の領域の活動を通してフローを体感することができ、想像力や創造力、目標達成能力を高め続け自己の価値を社会へと還元していく。
初めは微かかもしれないその小さな価値のひとつひとつが、今度は誰かの自己実現の糧となってサイクルが回り出す、再び経済が安定するのを待つのではなく主体性をもって自らがまず1歩を踏み出す、そんな時代のスタート地点に立っているのかもしれません。
青年よ、大志を抱け! それは金銭に対してでも、自己の利益に対してでもなく、また世の人間が名声と呼ぶあのむなしいものに対してでもない。人間が人間として備えていなければならぬ、あらゆることをなし遂げるため、青年よ大志を抱け!
ウィリアム・スミス・クラーク
幸いなことに、現在は莫大な設備投資を必要とする製品(プロダクト)を完成させなくても、リアル店舗を構え在庫を抱えるような大きなリスクを背負わなくても、誰もが手を伸ばせばその規模を問わずB(ビジネスオーナー)になれる、恵まれた環境が整っています。
もちろん企業や組織に属しながら能力を高めることも、準備を始めることだってできます。
例えば、身近なところではスキルを学ぶために受講料を払うという従来のイーラーニング形式から、単純に学ぶだけではなくスクーやTimeTicket、ココナラのような個々人のスキルを活かした講義を行うことができる、そんなプラットフォームが充実していくでしょう。
また、このブログという媒体も、単にお金を稼ぐため、自分の存在価値を認識するためといった欠乏欲求を補うような使い方だけではなく、自身の成長欲求にアプローチしながら世の中へ価値を提供するためのツールとしての使い方が周知されていくと思います。
その一端を担えるよう私も挑戦していきたいと思います。